難しい注文ほど、楽しみながら取り組める

大工の棟梁だった祖父の代から数えて、三代にわたり家造りに携わってきたことになります。私の代になって、個人大工から株式会社へと体制を変え、多くのお客様のおかげで大工から現場監督までおよそ10名の従業員を抱えるまでに成長することができました。様々な建設物件を手掛けていますが、やはり仕事の醍醐味は個人向けの住宅にあります。

地元鳴門の高校で建築を学びましたが、一時はグラフィックデザインを勉強するために上京しました。何年か経ち、たまたま帰省中に祖父の仕事を手伝った際入った現場で壊れた扉の取っ手を修理したところ、施主さんにとても喜ばれた経験があります。それがきっかけで、祖父の仕事の素晴らしさを実感し、家造りへと進むことになりました。

新築・リフォームに限らず、私のモットーは「施主の願いを可能な限りすべて実現する」ということです。施主さんそれぞれが様々な「欲しい家のイメージ」をお持ちですが、以外と「口にしない願い」も中にはあるのです。施主が言葉にしない願いも、対話を通じてとことん引き出したくなるのは、若かりし頃の経験がまだ心の底で燃えているからかもしれません。

難しい注文ほどやりがいを感じますし、逆に『全部任せます』と言われるのが一番難しく感じてしまいます。

意見のぶつけあいが家にエネルギーをもたらす

数ある工務店の中でウザワの最大の強みと考えている点は、提案する住宅の「デザイン性の高さ」だと自負しています。使いやすさとともに美しさも計算された住宅は、大工としてのみならずグラフィックデザインを学んだ私ならではだと思います。住まいは一つのキャンバスであり、そこで暮らしていく施主さんの人生に彩りを加えられるよう、外観や内装にアクセントを入れることで個性的な家に仕上がるよう心がけています。ときには施主さんの目の前でデザイン画を描き、「気に入らなければ責任を持ってやり直す」と説得するときもあります。

施主さんと意見をぶつけ合った結果、すべてが形になるわけではありませんが、そうやって家にエネルギーを注入していく作業は家造りにとって必要なプロセスだと考えています。エネルギーを注入されて出来上がった家は見学会でも好評で、訪れた人から「自分の家にも同じ物を作って欲しい」と頼まれることも珍しくありません。

意見のぶつけ合いは信頼関係があってこそ成り立つものです。事務所の雰囲気やスタッフの対応、広告一つをとっても親しみやすさを感じてもらえるよう徹底し、他の工務店よりも一足も二足も早く、お客様と信頼関係が結べることもウザワの強みだと思います。

変わる家づくり、でも思いは変わらない

私がこの業界に入っておよそ30年。当時と比べ、最近では住宅業界にもオートメーションによる合理化が溢れてきましたが、それは決してマイナスばかりではないと思います。

家そのものの性能は昔より遥かに進歩していますし、オートメーション化され、物流が進歩することで価格が下がるのであれば、それは施主さんにとっては大きなメリットです。ただ、住宅は車や家電製品のようにパッケージ化された商品ではありませんので、施主さんのこだわりは必ず反映させなければなりません。

私自身、家造りには作る側としてのこだわりを強く持っていますが、あくまでも主役は施主であるお客様です。そういった私自身の「芯」を感じ取って信頼してくださるお客様が、ありがたい事にたくさんいらっしゃいます。

「お客様それぞれに、よりよい住環境を創造すること」が唯一にして最大の、ウザワのやるべきことです。

代表取締役 鵜澤 一郎